在宅薬剤師のもり日記_1

在宅薬剤師のもり日記_1

ある末期がんの男性患者宅での出来事です。

日中の訪問時、患者さんは疼痛コントロールで眠っているので、いつも奥さんと話をしていたのですが、ある日、「深夜に痛がるので背中をさすってあげています」と笑顔で言われて、ハッとしました。大半の時間、医療者のいないこの家で、彼女はひとり旦那さんと向き合っているのだと。彼女の強い決意と優しさがなければ、在宅医療は成り立たないという事実を私は真の意味で理解できていませんでした。

 お宅の庭には、奥さんによる手入れの行き届いた花があふれていました。旦那さんへの細やかな心配りをされていたのだと思います。患者さんと、彼らを支えるご家族のために何ができるのか、いつも考えていたいと思いました。