ファーマシィ薬局三次センター
開 局:2002年4月
所 在 地 :〒728-0023
広島県三次市東酒屋町586-5
アクセス:三次中央病院バス停より徒歩3分
当薬局は、備北地区(広島県北部)で唯一、無菌調製の設備を有しています。そこで、いわゆる〝16キロメートル制限〞を超える遠方の患者さんを含め、高カロリー輸液を無菌調製して訪問するなどの機会がしばしば。負担は軽くありませんが、患者さんの役に立てるのはもちろん、薬剤師としてのモチベーションもアップしますから、スタッフは皆、精力的に在宅医療に取り組んでいます。
また、基幹病院である市立三次中央病院の患者さんが多いため、スタッフは心不全療養指導士や外来がん治療専門薬剤師の認定に果敢に挑戦し、さまざまな疾患を抱える患者さんのニーズに応えようとしています。
薬局薬剤師の仕事のひとつに、患者さんの服薬のフォローアップを行い、副作用をモニタリングすることがありますが、「果たして、それだけで十分なのだろうか」との思いを抱いています。そこで、たとえば抗がん剤治療を受けている患者さんに多い便秘の方に便秘薬を提案するだけでなく、食事療法をすすめたり、抗がん剤の副作用の口内炎に悩む方に食べやすいメニューを紹介したりしています。それらの知識の多くは、看護師向けの書籍などから得たものです。
化学療法を担当する看護師は忙しく、必ずしも患者さんの対応に十分、時間を割けない様子でした。ですから、他職種と重なるような領域でも、ケアが不十分であると感じたなら、積極的にお手伝いをして、患者さんのより良い療養に貢献していきたいと思っています。
現在、当薬局で定期的に在宅訪問している患者さんは5名で、うち1名の方には、高カロリー輸液の無菌調製を週3回、提供しています。この患者さんの輸液の成分は複雑で、調製するのに1時間近くかかりますが、地域でその役割が担えるのは当薬局だけであるため、重大な責務を果たしていると実感しています。
訪問している中には、目の悪い独居の患者さんもいます。この方は、通常の包装ではご自分で薬剤を管理することができません。対応を検討した結果、分包紙には何も印字せず、代わりに袋にその患者さんでも読めるくらい大きく「朝」、「夜」のように1文字だけを記載、さらに、それらの袋をやはり「月」、「火」などと大きく書かれた曜日ごとの袋にまとめて入れてお渡しするようにしました。
在宅医療では、患者さんの事情に合わせた個別の服薬管理が求められますが、そこにこそ薬剤師の醍醐味があるのだと思います。今後、こうした服薬管理上の工夫はもちろん、患者さんにプラスアルファの価値を提供できないかと考えているところです。
当薬局には、市立三次中央病院で外来化学療法を受けているがんの方が多く来局します。そのため、当薬局は同院が開催している研修会に参加し、密な連携に取り組んでいます。
同院との連携により、外来化学療法を受けている患者さんについては、どのような化学療法を、いつから受けているかといった情報が提供されます。当薬局は、それらの情報をもとに副作用が現れる時期を推定してサポートコールの電話をかけ、患者さんが困っていることがないかなどを確認します。
聞き取った情報はトレーシングレポートにまとめて同院に送ります。連携開始から2年以上が経過して慣れてはきましたが、医師へより有益な情報を提供できないかと模索する毎日です
当薬局では、介護施設に入居している患者さんの調剤も行っています。介護施設の場合は、基本的に看護師が患者さんの服薬管理を担っていますが、以前、介護施設側で確認漏れがあり、患者さんの薬剤が切れてしまったことがありました。これを受け、当薬局も服薬管理に関与すべきと考え、介護施設側と患者さんの受診日や服薬状況を共有。この施策によって介護施設との連携を始めることができました。
また、新型コロナウイルスの無料抗原検査の実施や抗ウイルス薬の備蓄といった事業に関して、広島県が各薬局に協力を呼びかけるたびに、当薬局は積極的に手を挙げています。なかなか手間のかかる業務ですが、地域に密着した薬局としての使命を果たすには、それらの事業への参加は必要不可欠だと確信しています。
当薬局の大きな特徴のひとつとして褥瘡治療に用いるドレッシング剤や各種のガーゼといった衛生材料の充実が挙げられます。ひとことでガーゼと言っても、患者さんの疾患によって適している種類はさまざま。そこで、多様なガーゼを用意しているのです。
衛生材料の多くは、市立三次中央病院の依頼に応じて取り扱いを始めました。これにより、患者さんは、たとえば、同院入院中に使用していたものと同じ衛生材料を、退院後にご自宅でも使用できるようになりました。また、箱売りだけでなく1個売りもして、患者さんの経済的負担の軽減にも配慮しています。
衛生材料の品ぞろえについては口コミで話が広まったようで、介護施設のスタッフなど処方せんを持たない方の来局も増えています。私は、こうした傾向をさらに強くし、多くの方が当薬局を調剤以外の目的でも訪れる薬局にしていきたいと思っています。今後も衛生材料以外に安眠グッズやアロマグッズ、バスソープ、スキンケア用品、健康食品などを取りそろえ、処方せん調剤以外の方にも気軽に立ち寄っていただける薬局づくりに努めます。