ー社員によるリレーエッセイー Vol.11 松岡啓輔

Vol.11 走りながら考える猪

福山南エリア

エリア長

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 松岡啓輔という人物は「客観的、丁寧、効率化」等のキーワードでよく評されます。客観的に物事を見て細かく分析して取り組みますが、行けると思えば、あまり深く考えすぎずに走り出す一面もあります。自分をよく知る方からいただいたフレーズは、「走りながら考える猪」。今でも密かにお気に入りです。
 座右の銘は「丁寧に早く」です。精度の高い仕事をしたうえで、いかに期日内に早く仕上げるかを常に考えて仕事をしています。バランスが難しいですが、質と速度は両立できると思っています。でも、入社当時の自分は重度のうっかり屋で、ありとあらゆるミスを重ねました。当時の薬局長には謝罪や指導も含め、さまざまな面でカバーしていただきました。ミスをして、改善策を積み重ね、徐々に石垣を組み上げていくように成長しました。スピードを追い求めすぎると人間はミスをします。確認ポイントが極力シンプルになる丁寧な仕事と、速度を落としての確認を心がけています。
 「物事をシンプルにとらえる」というフレーズが好きで、仕事をパーツパーツに切り分けて考える癖があり、さまざまな困りごともシンプルに局面ごとに回答を出し、解決するようにしています。

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 薬学生の実習に何年もたずさわってきました。実習生には「提案できる薬剤師になりましょう」と伝えてきました。「提案」は社内改善のために重要ですし、医師に対しても、より良い医療を行うために必要な行動です。昔の自分は、一般職のころから主応需先の医師に質問や提案をしては怒られての繰り返しでした。当時の薬局長は、カバーがたいへんだったと思います。
 しかし、うまくいって患者さんに喜んでいただけたことも多々あります。実習生にも「必要なことは物おじせず提案できるようになろう」、「すぐに受け入れてもらえないときは何が足りないかを考えて次につなげるようにしよう」と伝えてきました。医師に意見を言うのはおこがましいという時代はすぎようとしています。自分の意見をしっかり伝えることができ、かたちにすることで良い変化をもたらすことのできるような人を多く育てていきたいと思っています。

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 今はエリア長として活動していますが、ここまでの道のりは本当に長かったです。下積み時代は、エリア長として働くための基礎づくりの時間だったととらえています。法的根拠を理解し、腐らずに前を向き、与えられたミッションをこなして結果を出す――の連続で道は開けます。
 ブロック長からエリア長になり、介護施設などからの応需立ち上げにも多数かかわりました。施設調剤は独自性のある世界ですが、そこにできるだけ標準的業務を整備したいと思い、自分がかかわった施設の初期設定は、ほぼすべて同じルールから始めています。それらの薬局は、エリア内だけを見ても、独立国家のように標準化がなされながらも独自性のある薬局になっています。
 施設調剤以外の薬局内の業務においても、さらに標準化を進めたいと思っています。幸いにも今、当社の中期計画『ロードマップ2025』に推進メンバーとしてかかわらせていただいています。薬局標準化をできるだけ進めたい、スタッフが行く先々で困らないよう、効率良く業務を行えるようにしたいと思っています。そのためには、各スタッフが、曖昧な設定ではなく、ある程度きっちりしたルールを熟知し、履行していく必要があります。土台の上で、臨機応変な対応のできる薬局づくりをしたいです。
 最後に、自分が引退するまでに実現したい夢物語の話をします。それは、小児科における小児薬剤の散水剤をなくし、低用量OD錠を一包化調剤して渡せるような世界を実現することです。製剤化できれば、小児調剤の世界が大きく変革します。