ー社員によるリレーエッセイー Vol.2 山﨑大輔

Vol.2 どんな薬剤師になりたいですか?

人事部
薬剤師/社会保険労務士
山﨑 大輔

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 「あなたはどんな薬剤師になりたいですか?」。薬学生の皆さんならどう答えるでしょうか。すぐには答えられないかもしれませんね。では質問を変えてみましょう。「あなたは何を重視して就職先を選びますか?」。そこから、皆さんが潜在的に思い描いている、自分自身がなりたい薬剤師像が見えてくるかもしれません。
 ある調査で、薬学生が就職先を選ぶ際に特に重視することは「働きやすさ」と「成長の機会」であるという結果を目にしました。しかし働きやすさとは、成長の機会とはなんでしょうか。

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 会社説明会などで薬学生と接していると、多くの方が「働きやすさ」の判断材料とされていると思われる「年間休日数」、「有休消化率」などについての質問を受けることが多々あります。もちろん、これらが充実しているに越したことはありませんが、私は必ずしも「働きやすさ」と同義ではないと考えます。たとえば
医師や看護師にとって、オンコールや当直など、24時間対応は当たり前です。今後、ますます参画が求められることになるチーム医療の一員ともなれば、薬剤師も必然的に、この「年間休日数」や「有休消化率」といった言葉とはもっとも遠いところにある「24時間対応」を求められることになります。

 では24時間対応を求められるから働きづらく、求められないから働きやすいのでしょうか?そうではないと思います。どんなにたいへんな仕事だとしても、その仕事が価値あるものとして評価され、組織としてフォローし合える体制が整えられていること。それがこれからの時代の薬剤師にとっての「働きやすさ」ではないでしょうか。

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 「成長の機会」はどうでしょう。人材育成には多くの会社が力を入れていますが、育成制度が充実している会社に入社する=「成長できる」ではありません。会社が提供できる「成長の機会」は、文字どおり機会でしかありません。同じ研修を受講しても、そこから得られるものは、受講者自身の姿勢に大きく左右されます。主体的に考え、取り組むことができる人とそうでない人では、年を追うごとに成長の度合いに差が開いていきます。

 今後、長期的に見ると薬剤師数は過剰になるという厚生労働省の調査報告があります。また、これまで薬剤師が行ってきたことの多くが、調剤ロボットやAIに取って代わられつつあります。先を予測することが困難なVUCAの時代の薬剤師にとって、働きやすさとは、成長とはなんでしょうか?生き残れる薬剤師はどんな薬剤師でしょうか?

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あらためて、薬学生の皆さん「あなたはどんな薬剤師になりたいですか?」。
 これからの薬剤師がめざすべき方向とは。それをサポートしてくれる環境とは││。難しい問いだと思います。しっかり悩んで考えて新時代を支える薬剤師となってください。