ー社員によるリレーエッセイー Vol.8 山足拡美

Vol.8 私の3つの挑戦

ファーマシィ薬局やかげ/学術支援部
山足 拡美

TURNUP第58号はこちら

 何を書かせていただこうかと迷いましたが、今回は、私の3つの挑戦について取り上げて書かせていただきます。

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 ひとつめの挑戦は大学院への進学です。私は、大学時代の就職活動の際、就職と同時に大学院への進学を考えていました。大学生のときに行っていた研究を、担当教員から「大学院へ進学してつづけてみないか」と言われたことが最初のきっかけでした。私はそのとき、進学という道をとても魅力的に感じましたが、その一方で、病院か薬局で臨床経験を積みたいという希望もありました。大学院を卒業した後に病院や薬局へ就職する、という道ももちろんありましたが、経済的な理由もあり、大学院への進学だけを考えることは私にはできませんでした。


 そこで、欲張った私は、就職活動をする際、見学先の担当者に「就職すると同時に大学院への進学を考えているが、そういった挑戦をさせてくれるか」ということをうかがいました。しかし、病院においても、薬局においても、「それはすごい挑戦ですね」と私の挑戦を認めてはくれますが、直接言われたわけではないものの「自分の時間でがんばってください」というようなニュアンスで返されることがほとんどでした。


 そんな中、実務実習でもお世話になったファーマシィでは、私のこの挑戦を積極的に応援してくださるというお話をいただきました。もともと病院志望だった私は、実務実習前は薬局に就職することを積極的には考えていませんでした。けれども実務実習の際、薬局の外来業務だけでなく、在宅医療の現場や地域活動の場を見学させていただき、薬局薬剤師としてのやり甲斐を見たようで、私の中の薬局への見方が変わっていたこともあり、とてもうれしいお声がけでした。


 そして、その後、国家試験に無事合格し、大学院への進学を果たすと同時に、薬局薬剤師としても第一歩を踏み出すことになりました。はじめの1、2年は新人指導をしていただきながら、授業がある日は普段より早めに仕事を切り上げさせていただき、大学院へ行って授業を受けました。

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 当初、研究は思うように進みませんでしたが、薬局で当時注目され始めていたポリファーマシー対策について薬局長から取り組んでみるように言っていただきました。これが私の2つめの挑戦です。新人で処方意図の検討もひとりでは難航する中、先輩方に相談しながらではありましたが、ポリファーマシー対策として減薬提案を実施していました。


 そんな中、つたないながらも自分が書いた減薬の提案書によって患者さんの服用薬が実際に減薬になり、『服用薬剤調整支援料』の算定に加えて、患者さんからも「薬が少しでも減って飲むのが楽になった」と喜びの声を頂戴したときのうれしさは今でも忘れることができません。

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 最後の3つめの挑戦は結婚・出産です。まだ大学院に通っている途中で、私にとって結婚は通過点にすぎませんでしたが、妊娠・出産は大きな変化点でした。産休・育休を取得し、出産、そして育児をしながら、大学院では4年生へと進級し、学位論文も書かなければなりませんでした。渦中にいたころはどうなることかと不安でたまりませんでしたが、そんな目まぐるしい日々を、家族であったり、友人であったり、職場の仲間が支えてくださったおかげで、なんとか学位も取得することができました。
 まわりの支えに感謝をしつつ、これからも挑戦をつづけていきたいと思います。