ー社員によるリレーエッセイー Vol.9 山根孝太

Vol.9 挑戦、そしてまた挑戦

関東エリア
山根 孝太

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挑戦、そしてまた挑戦

 挑戦と聞いて皆さんはどのようなイメージを持たれるでしょうか。
 「壮大な目標へ向かって進んでいく」、「危険や失敗を恐れず、困難なことに立ち向かう」というイメージを持たれた方が多いのではないでしょうか。私もそのように思っていた時期もありますし、実際にそれも正しい認識だと思います。
 一方、英語で「挑戦」とは、主に「Challenge(チャレンジ)」や「try(トライ)」と表現します。「Challenge」には「気楽にやってみる」というニュアンス、「try」には「新しいことに対してうまくいくか試してみる」というニュアンスがあります。冒頭の「挑戦」とは大きく意味は異なりますが、今の私にとって「挑戦」はこちらの意味のほうが近く、皆さんも少し気軽なイメージに変わったのではないでしょうか。
 このことを踏まえ、私がファーマシィに入社してからの3つの挑戦に触れたいと思います。

小児在宅への挑戦

 入社2年目の秋、初めて在宅患者を任されました。18 トリソミーの小児の患者さんでした。当時、薬局での小児在宅の受け入れ実績はなく、私自身に在宅の経験もなく、疾患に対しての知識もなかったため、本当に手探り状態で始まりました。とりあえず日々勉強し、訪問医など他職種との連携や患者さんへの対応方法を試行錯誤するうちに、患者さんのご家族からの信頼を得られ、なんとかかたちにすることができ、現在では10名を超える小児在宅の受け入れを行っています。

敷地内薬局への挑戦

 次の挑戦は2017年春、全国でも例のない敷地内薬局の立ち上げでした。当時から敷地内薬局へのバッシングは多く、その中でどのように薬局を立ち上げたらいいのか、どのような薬局をつくればいいのかと悩みましたし、病院や地域の方とはどのようにかかわればいいのかと問題は山積みでした。
 しかし、会社の「地域に根ざした信頼される薬局」という理念を貫いて、地道に努力を積み重ねた結果、健康サポート薬局の取得や病院内研修の立案に加え、毎月の地域イベント実施依頼を受けるなど、地域の健康拠点として今ではなくてはならない薬局となりました。

専門薬剤師への挑戦

 もっとも大きなチャレンジは、日本臨床腫瘍薬学会の外来がん治療専門薬剤師への取り組みでした。
 現在、薬局では化学療法中のすべての患者さんに対し、適切な対応が取られているとは言えません。資格取得をめざすきっかけは、薬局に来られる化学療法中のすべての患者さんに適切な対応ができる薬局をつくりたいとの思いでした。しかし、非常に難易度の高い資格だと言われていたため、取得は難しいだろうとも考えていました。
 ただ、薬局長として率先垂範で、日々サポートコール、トレーシングレポートの業務や学会セミナー受講に取り組み、4年間かけて外来がん治療専門薬剤師の資格を取得できました。有言実行で目標を達成できたことは、この領域の勉強をしているほかの社員の希望となったのではないかと思います。
 さまざまなことがありましたが、振り返ると一つひとつの挑戦が今の自分を形成したのだと思います。挑戦したから新しい経験ができ、新しい経験をしたから成長できました。自分が成長したいと思うなら、まずは挑戦(チャレンジ、トライ)しかありません。
 小児在宅への参入は、今から思えばたいしたことではなかったかもしれません。敷地内薬局も、現在では全国に数多くあります。しかし、ほかの人から見て壮大で困難な目標ではなくても、自分にとって困難なこと、自分にとって新しいことであれば立派な挑戦です。ぜひ、身近なことからでも挑戦、チャレンジ、トライしてみませんか。

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 さて、薬剤師10年目の節目となる今年は、どんな挑戦をしていきましょうか。