在宅薬剤師のもり日記_18

在宅薬剤師のもり日記_18

初めて無菌調剤を行ったときのことをよく覚えています。

見慣れない薬剤や医療材料の処方せんを前に、緊張しながら調剤を進めたところ、配達直前になって用意した薬剤の中に保険が使えないものがあると知って愕然としました。患者さんの幸せを決める要素はさまざまですが、そこにはお金に関する項目も含まれるはずです。より少ない負担額での医療を優先的に考える方もいるでしょう。保険がきかないことにもっと早く気づいていれば、患者さんに別の選択肢を示せたかもしれません。

 調剤のみに気を取られることなく、患者さんの「治療」全体や「幸福」全体に目を向けられるようになるには、広範な知識と経験が必要だと思い知らされました。